「ルス、闇を照らす者」

内容: 70~80年代南米アルゼンチン軍事政権時代の闇の歴史に基づく小説。 軍人の孫娘として育てられた主人公ルスが、息子の出産を機に自分の出生に疑問を抱きルーツを探し始める。

 

すごい本です。 こんなに夢中になって読んだの久しぶり。 面白い、と言ったら不謹慎なような、重いテーマの話ですが、読み始めたら止まらなくなりました。 軍事政権下のアルゼンチンでは、反体制派や、そうと疑われた普通の人たちが激しい迫害を受けていました。本書はフィクションですが、歴史的事実に基づいて書かれています。 私が生まれて間もないころ、何の不自由もなく幸せに育てられていたころ、地球の反対側ではこんなひどいことが起こっていたんですね。命が何と軽く扱われていたことか。まるで地獄です。 そんな中でも愛する者を必死に守ろうとした人、真実を求め、伝えようとした人たち。彼らの勇気ある行動を応援せずにはいられませんが、危機一髪な場面が多く、ハラハラしてしまいます。 読み終わって、北朝鮮に拉致された人たちと家族のことなどを考えたりしました。 事実を見ようとしないこと、人の苦しみに無関心なことは、とても残酷だと思いました。