2024年11月10日
METライブビューイング『ホフマン物語』を観ました。今まで観たMETライブの中でも上位に入る面白さでした。二度三度観たかった。そんなお金無かったですけど。特にお人形と使用人のシーン、大好き。何度でも観たいなー。
観る前にあらすじを読むと、一人がいろんな役で出るとかややこしくて、これ面白いのかな?と半信半疑でしたけど、観たらすんなり分かって楽しめました。
癒される話でした。恋に破れて打ちひしがれるホフマン。でもその経験を作品に昇華させるんですよね。前向きなエンディング。最後の大合唱の歌詞、心にしみました。「恋は人を大きくする 涙はもっと大きくする」
今回のキャストで最も光っていたのは人形オランピア役のエリン・モーリーでした。歌もすごいし(ロボットっぽい感じ、極端な高音)、演技もすごい(あの動き!かなりの体力だな~)。この人の出演作が今後観られるなら追いたいです。ピンクの衣装の効果もあって、可愛かったです。ロボコンに出てくるロビンちゃんを思い出してました(古っ)。幕間のインタビューではピアノも聴かせてくれました。
壊れたオランピアを見て「人形だったのかああああ!」とショックを受けていたホフマン。気づくの今かよと驚きました。魔法にでもかかってたんですかね。
このオランピアの幕が一番面白かったです。オランピアの生みの親の科学者もインチキ臭くて良かったです。悪役はヘンテコな物を売りつけようとします。後ろには変な人形を抱えて少女っぽい格好をしたおじさん達が座っていました。オランピア登場前のパラソルを持った人たちによるダンスも素敵でした。サーカスっぽくて賑やかなひと幕でした。
ずっとホフマンに寄りそうキャラクター、ミューズ兼親友ニクラウスを演じたヴァシリーサ・ベルジャンスカヤも良かったなー。生き生きして良く変わる表情が楽しかった。このミューズ、悪役にこそこそ耳打ちする場面があったりしてちょっと怪しいのが面白かった。
大好きだったのはコミカル担当的な使用人役、アーロン・ブレイク。各パートで別人を演じていて(いつも使用人ではあるが)、一人4役をやっています。それぞれ癖が強くて最高。歌と舞踏の基礎がなってないと歌いながら、(舞踏はともかく)歌、素晴らしいです。
悪役の人、カッコよかった(クリスチャン・ヴァン・ホーン)。ミラクル博士っていい名前ですね。絶対かかりたくない医者だけど。その前はきれいな目玉やバラ色眼鏡を売ったりしてました。ホフマンのこと「ドクニンジン殿」って罵ってて、絶妙な言葉選びだなと🤣
主役のホフマン役はバンジャマン・ベルナイム。まだ30代のテノールで、フランス語を美しく歌うことで定評があるらしいです。歌は全部良かったけど、特に好きなのは序盤のほうのクラインザック→恋の悲しみ→クラインザックと一曲の中で移り変わりのある歌です。頼りなげな感じは悩める青年ホフマン役に合っていたと思います。
ホフマンは3度失恋しますが、お相手は
①人形のオランピア
②歌手のアントニア
③高級娼婦ジュリエッタ
です。
①についてはもう話しました。
②アントニアは3人の中で唯一彼女だけがホフマンを愛しています。相思相愛です。なのに死にかけています。歌い過ぎがいけないのだと彼女のお父さんは言ってますけど。それより父・呼んでもいない医者・死んだ母がいっぺんにあーだこーだ言ってきて、(てんでバラバラのことを重唱で彼女に歌いかけるのです。あれは頭痛くなる😂)そのストレスが原因で弱ってしまったのではないでしょうか。
③ジュリエッタ。 「娼婦なんかに恋はしない」というホフマンの言葉に「ホフマンをもてあそんでやる」と闘志を燃やします。ワクワクしました。ところがホフマン、ちょろすぎ。瞬殺でした。そしてあっという間にふられるし。何だったんや。ジュリエッタはゴージャスで大人の色気と貫禄たっぷり。これじゃホフマン君勝ち目ないよ。周りではダンサーたちがアクロバティックかつエロティックにうごめいていて、妖しい雰囲気を出していました。舟も出ます。有名な舟歌もここで歌われます。
そんなわけで恋愛遍歴は散々だったのですが、いいのです。全ては創作のネタになるんですから。がんばれホフマン!
上映時間は休憩2回込みで4時間以上でした。でもずっと面白くて長さを感じませんでした。
ホフマン物語はラジオで聴いた事はあったのですが、やっぱりオペラは一度は観ないと。今後は音だけで聴いても場面を思い浮かべられるので嬉しいです。